「転職と副業のかけ算」を新卒就活生が読んだ感想

ブログに「本の感想」なる文章を書くのは初めてなので、つたない部分も多々あるかと思いますが、多めに見ていただければと思います。

就活生が転職と副業のかけ算を読んだきっかけ

この本を最初に知ったのは、父が読んだらしく、読み終わった後に「就活にも役立ちそうだから読みなよ」と紹介されたから。

正直、他人から進められた本を読むのが好きじゃない。他人から進められた小説などの「作品」なら別に読んでやってもいいが、この本はビジネス書だ。

すでに僕の部屋には、手を付けられていない積読が何冊かある。人生で読める本の数は限られている。それに、僕は読書の工程の中でも「一生の時間で読み切れない数ある本屋・図書館の棚の中から、自分が読みたい一冊を選ぶ」という行為が好きなのだ。

僕の読書に、他人が入り込んでくる隙はもう無い。

そんなわけで、勧めてきた父に対しては表面上の返事をして、もらった本は積読の一角に放置しておいた。

それから数日間、転職と副業のかけ算の本のことなんて忘却の彼方だったが、再びこの本が意識に立ち上ってくる出来事があった。

それは、僕が日課として聴いている TOKYO FM の夕方のラジオ番組「スカイロケットカンパニー」のゲストコーナーに、転職と副業のかけ算の著者が登場したからだ。

映画やドラマの公開前に俳優が宣伝として色々なバラエティー番組をハシゴするように、筆者がラジオに出たのもプロモーションのハシゴと一角なのだろうと思った。

どうやら、この本の筆者は「moto」という人らしいことを認識した。twitter で「年収を上げるための転職の専門家」的なポジションを確立しているということも知った。

ラジオで筆者のmotoさんが話していた内容は、正直覚えていない。ラジオはいつも作業のBGMとして聴いているけれど、面白い話や印象的なはなんとなく頭に残っているものだ。

今回紹介した転職の専門家さんがラジオで言ってたことはあんまり頭に残っていないので、たぶんそういうことだ。

色々絞り出して思い出すと、年収を上げるための転職テクニックの話をしていた気がする。「年収によくこだわっている人だなあ」という印象は覚えていたけれど、肝心のテクニックの内容はおぼえてない。やはり、覚えていないということは、そういうことだ。

3回目のチャンスで、ようやく読もうという発想に至った。それは、本屋。

2019年の9月の下旬ごろ。2019年の9月は、よく台風が関東に直撃していた時期として後の時代に思い出されるだろう。

そのころ僕は、ハライチの岩井(澤部じゃない方、キツネっぽい顔をしている方)が初めて書いたエッセイ本「僕の人生には事件が起きない」を買いたいと思っていた。(この本の感想も、そのうち書きたいと思う)

結果的に「僕の人生には事件が起きない」はかなりのヒット本となったらしいが、当初はそれほどの部数がすられていなかったそうだ。

ハライチのラジオを来て本の存在を知っていた僕は、発売間もない品薄の時期に「僕の人生には事件が起きない」を、あらゆる本屋をハシゴしながら探していた。

どこの本屋にも、話題の本は目立つコーナーに置かれている。

不思議なことに、どの本屋に行っても「転職と副業のかけ算」が話題の場所に置かれているのだ。どうやらこちらも、世間的にはかなり話題の本になっているらしい。

転職と副業のかけ算を父から紹介された時も、ラジオで取り上げられていた時も、「どうせ一時的に本屋に並んで、消費されて消えていくビジネス本の一つ」としか思っていなかった。けれども、セケン的には売れているらしい。なんか悔しい。

ハライチ岩井の「僕の人生には事件が起きない」を一刻も早く読みたい気分だけれども、どうやら重版されるまで手に入らないようだ。その所在なさを埋めるために、「しょうがなく」手に取ったのが、部屋の積読に置かれたままだった「転職」と副業のかけ算」なのだった。

かくして、この本との接点が3回あった中で、3回目にしてようやく手に取るに至った。一冊の本との出会い方としては、自分の中ではかなり珍しいパターンとして印象に残っている。

それでは、ネタバレに気を付けながら、本題の本の感想に入っていきたい。

転職と副業のかけ算を読む前に期待していたこと

小説やエッセイを読む時は、本の最初から「作品」に身を任せて読めばいい。

けれども、こういうノウハウ本やビジネス本は、自分が読む目的をはっきりさせて読んだ方が、「情報収集」としての読書としては効率がよくなる気がする。

この感想を書いている自分は、大学生で就活生。

就活生の立場として、「転職と副業のかけ算」を読むことについて以下のような目的・期待ラインを設定していた。

本が面白いかどうかは別として、以下の目的に沿った情報が得られれば、巷にあふれかえっているビジネス本・ノウハウ本の中の1冊に過ぎない「転職と副業のかけ算」を、わざわざ手に取って読んだ価値があったという判断になると思う。

【就活生として、転職と副業のかけ算に期待していたこと】

  • 就職活動の面接や選考のテクニックとして、参考になることはあるか?
  • 新卒入社後、年収を上げるためにはどんな頑張りが必要なのか?
  • 新卒入社において、給料(初任給)をどのくらい重視して業界・業種・会社を選べばいいのか?
  • 新卒入社後、転職によるキャリアアップ・年収アップをするために普段から意識すべきことは?
  • 著者はどんな副業で数千万稼いでいるのか? 自分ができそうなことはあるか?

本のターゲット・雰囲気(個人の見解)

筆者の moto 氏は、たしか30代。短大卒で社会に出て、300万円にも満たないくらいの初任給から、社会人10年ににして、サラリーマンでの年収が1000万、副業での年収が4000万を達成している。

「転職と副業のかけ算」がターゲットとしているのは、

  • 筆者の moto 氏 と同じような社会人10年前後の人たち
  • 会社でくすぶっている30~40代世代のサラリーマン
  • 先が見えない中で給料が年功序列的に上がっていかない不安を持っている人
  • 目の前の仕事に追われて自分のキャリアの戦略を立てられていない30-40 代

という印象。この本を紹介してきた私の父も40代だから、40代を中心にネットやSNS で話題にされているのかもしれない。

転職指南、副業指南のビジネス書/ノウハウ本としては、専門的なテクニックや体験・知見を事細かく書いてあるというより、「読みやすさ」を重視して書かれたビジネス書であるように思う。

上に列挙したように、この本の目線としてはどちらかというと「現状キャリアや年収が思い通りでないと思っている人」を引き上げようという印象。

すでにある程度うまくいっている人で、ワンランクを目指したいと思っている人にはちょっともの足りないかもしれないと思った。

就活生としては、「10年後、この本の読者として想定されているような “イケてない中堅社会人” になっていたくないな」という危機感を持てたという意味では、読んでよかったと思っている。

会社でくすぶっていて転職を考えている中堅社会人であれ、最初に働く会社を考えてる就活生であれ、「自分の強みを知り、溢れかえった採用情報の中から、自分の思い描くキャリア・収入を実現できそうな選択肢を選ぶ」という点では共通している。

この意思決定のために必要な行動や方法の基本を知れたことで、自分の就活に対する考え方もアップデートされたように思う。

就活生を対象とした、就活サイトや就活ブログにあるような「会社・仕事・キャリアの選び方」は、就活生をどこか「子ども扱い」しているきらいがあるように感じる。

あふれかえった就職ノウハウ論に辟易している就活生でも、あえて一段目線が高い「中途採用の人向けのノウハウ」に触れておくことで初めて、新卒を対象としたノウハウの深い部分にある本質に迫れる気がした。

分量 読むのにかかった時間

1ページ当たりの分量はそれほど多くない。図表も多用してある。

自分自身、11月17日まで六本木で開催されたバスキア展の最終日の大行列に並んでいる1時間の中で半分ほどまで読み進められた。

なんだかんだで、全部で読むのにかかった時間は2時間半くらい。新幹線で東京から新大阪まで移動している間に読み終わる。

繰り返しになるが、細かいところまで余すところなく伝えるというよりは、筆者の体験・知見をポイントに絞って整理して伝えることに重点が置いてあると思う。

読みやすい本なので、「本を読む習慣がない」という人でも手に取りやすい印象だった。この本に限らず、普段から読書している人がビジネス書を読むとサクサク読めすぎて逆に不安になってしまうものだ。

読後の感触、印象

自分としては、あまり目新しい内容や新情報は書かれていなかったように思う。

けれども、キャリアの選び方や年収の上げ方について、「よくよく考えればそうだよな」「キャリアアップしようと思ったら当たり前のことだけれども、最近の自分にはできていなかった」ということを再確認できたと思う。

本を読み終わった後の自分のメンタル状態については、いろいろな種類がある。

本の内容が濃くて読み終わった後に緊張が解けた感じになる読後感、自分はまだまだだと打ち飲まされる読後感、明日からも頑張ろうと素直に思える読後感、などなど。

「転職と副業のかけ算」の読後感としては、心にどっしりと来たというよりは、すらすら読み終わってしまった軽い印象ではあるものの、なんとなく元気が出た感じ。

「突飛なことじゃなくて、当たり前のことをこつこつやれば、著者のようになれるかもしれない」という気持ちで、心が軽くなったという感覚だ。

読む前の目的は達成されたか

「転職と副業のかけ算」を読むにあたり、この本に期待していたことは以下の通りだった。

  1. 就職活動の面接や選考のテクニックとして、参考になることはあるか?
  2. 新卒入社後、年収を上げるためにはどんな頑張りが必要なのか?
  3. 新卒入社において、給料(初任給)をどのくらい重視して業界・業種・会社を選べばいいのか?
  4. 新卒入社後、転職によるキャリアアップ・年収アップをするために普段から意識すべきことは?
  5. 著者はどんな副業で数千万稼いでいるのか? 自分ができそうなことはあるか?

読む前の自分の期待が、読み終わった時点で達成できていたのかを一つずつチェックしたい。

就職活動の面接や選考のテクニックとして、参考になることはあるか?

新卒の就職活動において、この筆者と自分のスタートラインが違っていた上に、就職活動に対するアプローチが全く違っていると感じた。

自分自身は四年制大学にいるのに対し、著者は短大卒として就活をしていた。

短大であるにもかかわらず四年制大学の卒業生と同等の企業を受けるために、自己アピール方法を工夫したり、会社に直接連絡を入れたりするという「常識にとらわれない方法で自分を売り込んで、担当者の印象に残す」という就活をしていた。

2019年の売り手市場のこの頃の就活スタイルと筆者が就職活動していた当時の就活の有り方は異なるし、何万人もエントリーして数百人単位で新卒を採用するような「有名大手企業」に入るために就活している大学生にとっては、筆者の方法がそのまま参考になるわけじゃない。

それでも、キャリアを選ぶこと、戦略的に自分を売り込むこと、企業の担当者にいかに「ウチに必要な人材」と思わせるか、といったマインドセットの部分は大いに参考になると思った。

自分のように、就活サイトで情報を見て気になったところにエントリーシートを書くような「受け身」の就活をしていた人間にとっては、ハッとさせられる思いで読んでいた。

「大学名・学歴にコンプレックスがあるけれど、自分の入りたいと思っている会社の内定を勝ち取りたい」と思っている人も勇気が湧いてくる内容だと思う。

新卒入社後、年収を上げるためにはどんな頑張りが必要なのか?

この本では、「大企業に入って、年次とともに役職を上げながら、退職金をもらって生涯年収3億くらいを稼ぐ」「定年まで公務員として国や地方に貢献する」という生き方は想定されていない。

「置かれた場所で成果を出しながら、その成果と自分のスキルを必要とする場所をうまく見つけながら年収を上げていく」というアプローチがとられている。

筆者は「営業・マーケティング・顧客開拓」の職種で生きている人なので、その方面の職種に身を置きたい人は参考になるはずだ。

自分自身の成果が売り上げとして分かりやすく表れて、ガツガツしていて、新卒で経験する職種として比較的敷居が低い営業系職での転職のセオリーを知っておけば、ほかの職種の人でも参考になる部分はあると思われる。

新卒入社において、給料(初任給)をどのくらい重視して業界・業種・会社を選べばいいのか?

短大卒ながら著者の ”戦略的な” 就活の結果、今となっては有名な会社から内定をもらっていたものの、ある考えで、年収を240万円のホームセンターでキャリアをスタートさせた。

それから10年かけて4回の転職を経て、本業と副業で年収を数千万に増やしたのが筆者だ。

新卒の初任給なんて、長い目で見たら誤差でしかない。

大事なのは、置かれた場所で自分の実力をつけ成果を上げること。

そのあとに「転職の専門家」である著者のノウハウを生かせば、キャリアアップを果たせる、というメッセージが本の中で強調されていたように思う。

新卒入社後、転職によるキャリアアップ・年収アップをするために普段から意識すべきことは?

会社で成果を出すだけでは、転職によって年収を上げるためにはまだ不十分。大切なのは、「社内の評価じゃなく、転職市場での自分の評価を意識する」というのが筆者の主張だ。

そして、転職市場での自分の評価を知るためには、「転職エージェント」を使いながら、エージェントとのやり取りの中でつかめてくるという。

今の会社で必死に働きながら、転職活動にエネルギーをかけるのは容易ではない。

この本では、「転職の専門家」という筆者の知見から、年収を上げるために転職エージェントの使い方、各社のエージェントの違いについても紹介されている。

著者はどんな副業で数千万稼いでいるのか? 自分ができそうなことはあるか?

筆者の副業は、リクルートなどの人材企業で働いて得られたスキル、そして自分自身の転職経験を生かした「転職の専門家」としてSNSやwebでの活動だ。

なんなら、この「天職と副業のかけ算」という本すらも筆者の副業の一環だし、本の印税がしっかかりと副業の稼ぎになる。

「稼げるアフィリエイト」「稼げる投資」的なコンテンツや情報商材を売って収入にしている人とやっていることはそんなに変わらない点が、ちょっとがっかりした。

個人的な願望としては、誰も思いつかないようなアイデアで副業してお金を稼いでほしかったが。

それでも、この本の筆者はあくまで「転職の専門家」であり、「副業の専門家」ではないことに注意して読めば読む前の期待と読後のギャップは少ないように思う。

ここで、この本のタイトルを思い出してほしい。

「転職と副業のかけ算」

筆者が個人としてやっている活動のビジネスモデルは、まさにこの本のタイトルそのものだ。

人材系の会社での経験、自身の転職での経験を副業での活動として掛け合わせるとで、本業でも副業でもお金を得ているのである。

本業のサラリーマンとして、だれにも負けない得意領域やスキルを付ける。

それが自分という人材の評価になり、収入が上がる。さらに、本業でのスキルを会社以外で生かせる場所が見つかってお金が生まれれれば、それは副業となる。

自分自身は一人しかいない。一度の人生で一人分のキャリアしか歩めない。一人分のスキルしか身に着けられない。

副業は本業と全く別のベクトルのものだという固定観念があったけれども、副業のべクトルを本業の延長線上に置けば、一石二鳥になる。

残念ながら、SNSやネット上での「転職の専門家」という椅子は、すでにこの本の筆者 moto 氏で埋まっている。

同じことをやろうとして後追いしても、それは転職の専門家の二番煎じにしかならないし、本家を超えられない。

大切なのは、同じことを「真似」することではなく、筆者の体験から「戦略」「マインドセット」を学び取り、理解することだと思う。

 

筆者は、数千万円の収入があるにもかからわず、依然としてサラリーマンを続けている。

それは、本業のサラリーマンあっての「転職の専門家」という副業であるし、副業での知名度が本業での人脈ネットワークづくりに生きてくる。

「転職と副業のかけ算」は、「本業と副業のかけ算」についての本でもあるのだ。