移住希望者がチェックすべきwebサイトまとめ

公的機関によるポータルサイト

総務省 「関係人口」ポータルサイト

自治体行政を管轄する総務省、国土開発を担う国土交通省は、地方創生に取り組んでいる代表的な省庁だ。

都市部居住者が、いきなり地方に移住して定住するのは、とてもハードルが高い。

住まい探し、地方での仕事探し、なじみのない地方での人間関係や生活基盤の確立、などなど、なじみのない地方への移住には、乗り越えるべきハードルがたくさんある。

そこで注目されているのが、移住する人口を増やすのではなく、「関係人口」を増やすというアプローチ。

地方への旅行者、その地方のファン、もともとその地方に住んでいた人などが「関連人口」に含まれる。

移住して定住してもらうまではいかずとも、旅行者やファンや出身者とのかかわりを広げ、深めることが、地方創生の一つの手法となりつつある。

総務省の「関連人口」ポータルサイトは、国や指定モデル団体などが主催するセミナー、事例などがまとめられている。

全国移住ナビ

全国移住ナビのコンセプトには、

「自然と暮らす 街で暮らす 自分に合った暮らし探し」
~好きな自治体を見つけて、移住を考えてみよう!~

とある。デザインがシンプルなので、個人運営のサイトか?と思ったが、詳しく調べてみると、総務省が運営しているwebサイトだった。

よくよく見ると、サイトのトップページに、安倍晋三首相の署名もあった。

・地域の仕事を検索
・地域の住まいを検索
・体験談を検索

などが利用できる。

「仕事を検索」のところを調べてみると、各地域のハローワークや支援センターへのリンクが飛んでいた。

お役所が運営しているので、「国の思惑が満載」で作られたwebサイトではあるが、参考程度に見ておく価値はあるかもしれないし、ないかもしれない。

JOIN

JOINは、「一般社団法人 移住 交流推進機構」が運営しているポータルサイト。

こちらも公的機関が運営しているが、総務省による上記2サイトより断然利用しやすいし、「移住希望者目線」で準備されたコンテンツも多い。

特に、全国の「自治体支援制度検索」は、利用する価値があるように思う。

そのほか、

・田舎暮らし特集
・各地域の魅力
・空き家情報
・地域おこし協力隊 情報
・企業向け 人材交流マッチング の紹介

といった情報がある。

お役所感はほとんどなく、かなりポップで親しめるデザインのサイトであるが、移住希望者に対しては「地域おこし協力隊にぜひ参加を!」というごり押し感がすごい印象がある。

地域おこし協力隊は国の事業なので、情報を広げて参加者を増やしたい思惑が見えなくもない。

それに、JOINのサイトでの移住とは「田舎暮らし」とほぼ同じような定義。

人口が集中傾向の東京近辺に住む人間を、田舎のニーズとマッチングさせて、人口が減少傾向の田舎に直ちに送り込もうという安直な思惑も感じ取られる。

都会に住む人間にとっていきなり「田舎に移住」は抵抗があるものだ。移住に関する情報は豊富にあるものの、移住の「決め手」とできるようなサイトではないように思う。

Furusato

「Furusato」は、NPO法人である「ふるさと回帰支援センター」のサイト。

各地域、各自治体の「移住相談会」などのイベントの告知や、これまた「地域おこし協力隊」の募集が主な内容。

「ふるさと回帰」を名前に冠する団体なので、「東京生まれ、東京育ちだけれど、どこか二拠点生活できる地域を探したい」というニーズには応えられていないように思う。

やっぱり、「移住するなら、地域おこし協力隊に参加してね?」みたいな、国主導の移住推進策にちょっと疑問を持っている人、あるいは、「地域おこし関係なく、地方で自分のペースで落ち着いた暮らしがしたいだけ」という人には、あまり参考にならないサイトかもしれない。

地域の仕事 系

日本仕事百貨

日本仕事百貨は、各地域でオリジナルな仕事をしている「個人」にスポットライトを当て、紹介している。

求人系のwebメディアを運営している「株式会社シゴトヒト」が運営するサイトである。

先ほどの国主導の「地域おこし協力隊」とは仕事に対するアプローチが異なり、日本仕事百貨は「個人のできること、特技、スキル」から出発している。

地方に移住し、地域に根差しながら、ニッチな仕事でも個人が輝ける場所を見つけたい、という人が、「自分にも何かできるかもしれない」と、無条件にわくわくできるような、いいサイトだと個人的には思う。Dualizmの運営にも、大いに参考にさせていただきたいサイトの一つ。

real local

「real local」は、僕自身、とても注目しているサイト。僕の出身地でもある金沢市のローカル情報の特集も多く、個人的に共感できる点も多い。

real local のサイトコンセプトは、僕自身が書くより、サイトの原文を引用する形で紹介した方が微妙なニュアンスまで伝わる気がするので、そうさせていただく。

「real local/ リアルローカル」は、新しい視点でローカルを発見し、紹介していくサイトです。

「今こういう仕事をしているからここに住もう」など、人がより自由にローカルを移動できる姿を僕らは思い描いています。

言い換えれば、地域間の移動がもっと気軽になれば、今とは違う働き方もより一層開拓されていくことでしょう。

日本のローカルはとても多様で環境的に豊かな場所がたくさんあります。
それをもっと多くの人が選択して日常的に享受できるためにはどうしたらいいかを考えています。

「生まれ育った場所に戻りたいけど、良い仕事と出会えない」
「シェアオフィスなど、面白い人が集まる拠点の情報が知りたい」
「地元の産業や食を体験・交流できるイベントにもっと行きたい」
「移り住む前に、その地域で面白い動きをしている人ともっと出会っておきたい」

幸いなことに、僕らの周りにはいろんなローカルに拠点を持つ仲間がいて、なおかつ彼らはそこに暮らす楽しさを体現しています。

リアルローカルでは、ローカル同士をネットワークで結び、「物件」「人」「仕事」「イベント」「宿/拠点」「店」などの情報を発信していきます。
これは、「住む場所も働く場所も、もっと自由に選ぼう」を合言葉に一緒につくっていく、まったく新しいタイプのローカルガイドです。

少々引用が長くなってしまったけれど、real local のコンセプトにdualizmがインスパイアされたのも事実。

東京から「田舎」へという図式で進められている、国主導の移住政策、移住支援。

僕たちが志向すべきは、単に人が少なく不便な「田舎」なのではない。

田舎なり地方なり、その場所に住む人たちとの関わりと、それに基づいた仕事であり暮らしの有機的な結びつき、これこそが「real local」なのだと、個人的には感じている。

そして、ローカルでの生き方や仕事の仕方も、国から示されたものではなく、個人から出発したものであるべきだと思っている。

real local には、様々な地域の様々な個人が企画した、様々なイベント情報も豊富に掲載されているので、ぜひチェックしてみてほしい。

住まいと暮らし関連

YADOKARI

YADOKARIは、住まいのクリエイターとしての目線から、「未来の住まい方」と「未来の働き方」について向き合っているサイト。

運営は「YADOKARI株式会社」で、これは建築、カフェやメディアやイベントの企画を行っているクリエイティブな会社。

YADOKARI株式会社の「マニフェスト」となっている文章も、非常に力がこもっていたので、フルで引用させていただきたい。

人生はクリエイティブだ。
僕らは湧き上がる好奇心に
従う勇気を持っているだろうか?
もっと人と繋がりたい。もっと文化に触れたい。
もっと世界中を旅したい。もっと自分を信じたい。
僕らは、凝り固まった心と体をぶち壊し、
明日をつくっていく力を秘めたアーティストだ。
あなたの好奇心はなんですか?
悔いのない今を、一瞬を。

ミニマルな暮らし、豊かな住まい空間づくりに興味がある人、「自分が心地よく住める場所はどこか?」と心の潜在的な部分で求めている人は、ぜひともチェックを。

ローカル移住 住まい関連

灯台もと暮らし(もとくら)

「灯台もと暮らし」は、”これからの暮らしを考える” をコンセプトとするウェブメディア。

編集長の小松崎拓郎さんは、日本を離れ、ドイツの暮らしを経験。その体験から、自然と調和した暮らしや、移住に打ちて考えていくサイト になっている。

最近、google検索サイトの上位にはびこっているまとめサイト、SEOサイトとは一線を画して、次のような編集方針を掲げているのが特徴。

・当事者性 / 常に自らの問いが起点であること

・三方よし / 独りよがりな問いではなく、取材対象者や読者に価値のある問いを投げかけ、一緒に考えていくこと

・探求者 / 自身だけでなく社会に良い影響を与えるために、表現すること。また「灯台もと暮らし」は表現の場であること。

Dualizmの運営を進めていくにあたって、情報発信への向き合い方として、ぜひとも参考にさせていただきたいと思う。

「自然と調和した暮らし」「地方での暮らし」の特集が多く、地に足のついた体験や取材に基づいて、丁寧に描かれた文章はとても心地よい。

TURNS

「TURNS (ターンズ)」は、地方移住や二拠点生活について、紙媒体で情報を発信している貴重な雑誌。

ロビーに置かれている雑誌のラインナップや、書店の雑誌コーナーにTURNSを見つけるとついつい読んでしまうので、年間の定期購読をしようかどうかと迷っている今日この頃。

TURNSのweb版には、田舎暮らし、二拠点生活についてのイベント情報が豊富にあるので、是非ともチェックしておきたい。

あと、紙媒体の方のTURNSのチェックもお忘れなく。

ココロココ

ココロココは、「地方と都市をつなぐ・つたえる」をコンセプトとしているwebメディア。

運営は、地域に関するプロモーション支援事業、イベント企画を行っている「ココロマチ」という株式会社。1997年に設立らしいので、移住が注目され始めている今日この頃を思うと、先見の明のある会社かもしれない。

主なコンテンツは、以下の通り。

・イベント情報
・地域の仕事:地域おこし協力隊を中心に
・移住 交流 ノウハウ

コンテンツの深さはそれほどないけれど、イベント開催情報のコーナーは、ちょこちょこチェックしておくといいかもしれない。

自治体・地方創生関連

SMOUT 移住研究所

SMOUTは、移住スカウトサービス。自治体担当者が、移住希望者にオファーを送ってスカウトすうことで、自治体と移住希望者をマッチングさせるサービス。

そのSMOUTをより認知させるためのコンテンツマーケティング、webメディアがSMOUT 移住研究所なのだ。

鎌倉を拠点にする、「面白法人 カヤック」の子会社が運営しているサイト。

「移住希望者」と「移住者を集めたい自治体」両方にコンテンツを配信しているが、自治体向け、SNOUTの活用事例がコアコンテンツ。

・移住促進事例、取り組み、成功事例
・関連人口:「私が関連人口になりました」 移住希望者側、ユーザー側、一時滞在者、地域ファンの取り組みにスポットを当てたコーナー
・移住相談:移住の悩み相談コンテンツ、まだまだ少ない
・自治体向け:自治体向けコンテンツのまとめカテゴリ―
・エリアから探す:地域別、自治体別の移住事例のまとめカテゴリー
・海外移住:コンテンツ数は少ない、おまけコンテンツ、ベルリンやエストニア、移住ビジネスを行っていたら、海外移住することになった話、

自治体クリップ

自治体向けのweb広告事業、webマーケティング事業を行う「株式会社ホープ」が運営するメディア。「自治体をおもしろくするメディア」をコンセプトにしている。

移住希望者向け、というより、「自治体が、いかにPRして移住希望者やファンを呼び込むか」という目線で書かれたサイト。

「地方移住+自治体公務員に転職」を考えている人は、読んでおく価値のあるサイトであると思う。

・ニュース:自治体PRの取り組み、業務改善事例など、自治体に関するニュースをピックアップ
・レポート:株式会社ホープが行った自治体向けイベントの様子のレポート
・コラム:自治体が気にするべきトピックや情報をまとめたコーナー
・インタビュー:自治体担当者に、取り組みや事例についてインタビューした記事のまとめ
・改善事例:自治体の働き方改革、ICTを活用した防災などの取り組みについての事例をまとめたコーナー

事業構想

「事業構想」は、ビジネスを考える有名な月刊誌。

移住をメインに扱っているわけではないが、地方創生に関するテーマにも力を入れている。

その他、「SDGs(持続可能な開発目標)」など、環境・エコにかかわる、地方での暮らしと親和性の高いトピックも取り扱っている。

「移住&地方で起業」を考えている人は、定期購読で読んでおくといいかもしれない。

市町村アカデミー(JAMP)

市町村アカデミーは、自治体の運営や街づくりに関する研修プログラムを提供している。

自治体担当者むけの研修だけでなく、市民向けのセミナーも提供している。

市町村アカデミーのサイトからは、研修資料が豊富に揃っていて、無料でダウウンロード可能。

街づくりに興味がある移住希望者が見てみれば、何か得るものはあるはず。

NATIV(ネイティブ)

NATIV (ネイティブ) は、地方創生に関わる自治体、事業者に向けた情報を発信するメディア。

沖縄、淡路島など地域特化型のメディアなどを運営するwebメディア事業やEC事業を展開する株式会社イードの子会社である、ネイティブ株式会社が運営している。

地方と都市部の人材マッチング、地方の取り組み、地方での起業など、踏み込んだ特集企画が特徴のサイトだ。

サイトで取り扱っている主なトピックは、以下の通り。

・地域ビジネス:NPO、起業/ローカルベンチャーの特集など
・求人:地方企業の人材マッチング、地域おこし協力隊情報など
・イベント:地域おこし協力隊 会議レポート、地方創生セミナー告知など
・インフォメーション:自治体、移住サービス会社などのプレスリリースまとめ
・コラム:ブログ的情報、移住や地方創生に関するマインドセットのための記事

記事のタグ付けに「二拠点」が存在するのも特徴。2拠点生活をビジネス視点から取り上げている記事が興味深い。

その他にもチェックしておきたいサイト

時間の都合で今回は紹介しきれなかったけれど、そのほかにもチェックしておきたいサイトを、自分自身への備忘録としても一応記しておく。

エコロジー ・ソーシャル関連

・alterna S
・gteenz jp
・ソトコト

住まい 暮らし関連

・雛形 hinagata
・MACHI LOG

メディア型プラットフォーム

・みんなの移住計画
・みんなの経済新聞

ローカル文化 カルチャー発信

・ジモコロ どこでも地元メディア
・COLOCAl コロカル
・LOCAL LETTER
・マチノコト(ローカルコミュニティ)

ブログ

・まだ東京で消耗してるの?(イケダハヤト)

まとめ

移住関連のwebサイトには、総務省や国が推進しているもの、web会社が作っているもの、クリエイター的な人がつくているものなど、さまざまあることが分かった。

移住に関するノウハウ、体験談、情報などなど、まだまだ完全に網羅しているサイトはない。

国には国の、web会社にはweb会社の利害がある中で、移住に関する情報発信をしている。

移住をすことは、自分の人生における重要な決断になるので、他人の思惑、特に国が進める「移住で地方創生」のストーリーが本当に自分が実現したい移住なのか、冷静になって考える必要もありそう。

色々な情報を比較しながら、自分の実現したい移住ライフ、二拠点生活を明らかにしていってほしい。

イベントに参加して、そこでの出会いも、移住ライフや人生の深みになるはずなので、自分自身もこれから積極的に参加できればと思っています。その参加レポートも、これから発信予定です。

 

今回ピックアップするサイトを選定するにあたり、SMOUT 研究所の記事を大いに参考にさせていただきました。

SMOUT 研究所 :移住・定住のための地域系サービス カオスマップ2018年版を公開